オレンジ由来のCBDオイル!…の話から脱線
- 2020.07.30
- 更新日:2020.08.18
- CBDオイル

こんにちは、 CBD情報局「カンナビの井戸」のカンナビです。
今日もまた、数日前のこんなプレスリリースの話から入りたいと思います。
「え? オレンジからCBD?」と、「あ〜、例のやつね」の2パターンの反応に分かれるかもしれません。
まずは今回のリリース情報について少々…
オレンジ由来のCBDオイル…の小売り販売&卸売り
ということで、リリース情報の要旨はこんな感じです。
合資会社FRONTIER(本社:神戸市中央区、代表社員:野村啓輝、以下弊社)は、弊社オリジナルブランド 「MY BEST CBD」より、オレンジから製造された「オレンジ由来のCBDオイル」の小売り販売及び卸売りを開始いたします。
ブランドサイトにも書かれていますが、国内のCBDオイル市場は基本的に大麻由来の製品に占められているため、CBDオイルに対して嫌悪感や懸念を持つユーザーが存在するとした上で、この「MY BEST CBD」製品はそのようなユーザーに届けたいとのこと。
ちなみに卸販売もやるため、「従来のCBDを取り巻く様々な法的な混乱やリスクを回避した商品をご提供できると確信」ともPRしています。
そういえばつい一昨日、厚生労働省はこんな情報を公表しました。
本年1月、株式会社こころ(所在地:埼玉県蕨市)から、「弊社が販売しているCBD製品の中に、大麻成分THC(テトラヒドロカンナビノール)が含まれる可能性がある製品があることが判明したため、当該製品を回収した」旨の連絡がありました。このため当省では、同社の協力を得て、同社が回収したCBD製品2種類8製品(下記リストをご覧ください。)の提出を受け、成分の分析を行いました。
なぜ公表が半年も遅れたのかは不明ですが、当のメーカーサイトには関連情報が何も掲載されていないという不思議な状況。
【2020.8.6 追記】
本ブログ記事の掲載後、メーカーサイトに7月30日付で本件に関するお知らせが掲載されました。
これと前後する時期に同じ問題で大騒ぎになっていたエリクシノールのケースとはとても対照的です。
と、話が脱線してしまいましたが、オレンジ由来でTHCフリーのCBDであれば、抽出部位の問題や違法成分THC残留問題など、大麻取締法や麻向法(麻薬及び向精神薬取締法)に絡む問題は起きないため、確かに「従来のCBDを取り巻く様々な法的な混乱やリスクを回避」できそうです。
オレンジ由来のCBDオイル…の中身
さて、肝心の中身についてはこう書かれています。
MY BEST CBDの製造されるプロセスでは、オレンジの皮に含まれるテルペンを使用致しております。また、MY BEST CBDの商品(CBD)は、大麻由来のCBDと生物学的にも化学構造においても、分子的に同一であり、従来のCBDと同じようにご使用いただけます。
ということで、成分としてのCBDに関しては、大麻由来のCBDと同じということであれば、その商品価値は前述の「大麻由来のCBDに嫌悪感や懸念を持つユーザー」の嫌悪や懸念の程度によってかなり変わりそうです。
もしかすると、CBDのネガティブ・イメージが強く刷り込まれている人にとっては、大麻由来でなくてもCBD製品は敬遠したいアイテムかもしれません。
実は「オレンジ由来のCBDオイル」は、昨年1月、アメリカで2018年度改正農業法が施行されて産業用大麻(ヘンプ)の大規模栽培が解禁されたことを受け、いろいろ登場した風変わりな(?)CBD製品ジャンルというか製品タイプの一つ。
微量のTHCやさまざまなテルペン類が含まれる大麻草由来のフルスペクトラムというタイプやブロードスペクトラムが好まれるアメリカではあまり存在感はありませんが、大麻規制の厳しいアジア市場向けに積極的に営業しているメーカーが幾つかあります。
その一つがCitrus CBD社。
Citrus CBD
Citrus CBDはオレゴン州ポートランドにある会社で、ウェブサイトでは企業情報が乏しかったり、製法に関する記述が曖昧だったり、アメリカのCBDメーカーとしてはどちらかというと日本的な(?)珍しいタイプですが、商品ラインアップは経口カプセルに舌下スプレー、そしてトピカル系の経皮吸収パッチという興味深いものです。
もう一社、Source Pureというブランドを展開するSource Naturalsというメーカーもあります。
Source Naturals
このメーカーはカリフォルニアにあるCBD企業で、CBDオイルのラインアップはレギュラータイプのほか、滋養強壮や脳機能改善作用のあるアシュワガンダを配合した「MOOD(気分)」、鎮痛作用のある西洋ヤナギの樹皮などを配合した「RELIEF (鎮静)」、睡眠ホルモンのメラトニンを配合した「SLEEP (睡眠)」という具合に、そのものズバリのサプリシリーズになっています。
そしてこれらのメーカーは、PureForm GlobalというCBD原料開発メーカーが開発した「PureForm」という、大麻由来ではない、でも「シンセ(合成)CBDでもない」とされるCBDを使用しています。
PureForm Globalとディズニーの愉快な仲間たち
PureForm Global社によると、このPureForm CBDの製法は、フッ素などの化合物からではなくオレンジなど柑橘類のテルペン、つまり天然物からCBDを合成する「semi-synthesis(半合成)」だそうです。
一般的な化学の世界では半合成も合成の一種に分類されるようなので、「言葉のあや」なのかよく分かりませんが、従来の「フル合成」CBDとは違い天然物由来の合成なので合成CBDではないというロジックのようです。
前述の通り、成分としてのCBDが大麻由来のCBDと同じであれば、大麻由来のフルスペクトラムやブロードスペクトラムCBD製品に含まれるようなカンナビノイド類やテルペン類が含まれる方を好むのかCBDだけを追求したいのか、ユーザーの好みの問題かなとも思います。
それはさておき、このPureForm Global社の経営陣には面白いメンバーが名前を連ねています。
会長は、この会社が2016年にPureFormの製法を確立する直前まで、あのウォルト・ディズニーでナンバー2のCOO(最高執行責任者)を務めていたトム・スタッグス。
このカンナビはもともとこちらの業界の方が馴染みあるのですが、当時、次期CEO確実といわれていた人物が電撃退社したことで大きな話題になりました。
そしてPureForm Global社のCEOは、同じく元ディズニーではトム・スタッグスの元ボスでもあったリチャード・ナヌーラ。
この人はディズニーが子会社ミラマックスを売却した後もミラマックス会長を務めていましたが、ポルノ女優とのしょうもないスキャンダルが発覚して業界から消えた人物。
ほかにも元ディズニー時代の愉快な(?)仲間たちがPureForm Global社で要職を務めているようです。
ということで、最後はまた脱線してしまいましたが、当局によるTHC規制…の厳格な実運用…が厳しくなった日本では、当分の間、CBDアイソレートやシンセCBDが手軽な(?)原材料として、次々と生まれる国産CBDブランドとともに普及することでしょう。
ちなみにコロナ共存のための「新しい生活様式」のキーワードならぬキー漢字(?)を一つ挙げるなら、カンナビ的には「代」だと考えています。
「代替」「代用」「代行」など、本来のモノやコトやヒトの「代わり」です。
日本では急激で大きな変化は好まれませんが、それならまずは「似たもの」「近いもの」を代わりに利用してみるところから新たな様式が生まれるという考え方もできます。
CBDにもいろいろな「代わり」のバリエーションが生まれることは自然で「アフターコロナ」にも沿う流れかもしれません。
では、また!
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