カンナビの井戸(cannabinoid)

「カンナビノイド審査委員会」のCBD審査制度にちょっとツッコミ【後編】

「カンナビノイド審査委員会」のCBD審査制度にちょっとツッコミ【後編】

こんにちは、 カンナビジオール (CBD) 情報局「カンナビの井戸」の「かんなび」です。

今回は前回の続きで、今月スタートのCBD製品の審査・登録制度(by 日本化粧品協会が昨年11月に立ち上げたカンナビノイド審査委員会)について、公式サイトに掲載されている内容に沿って、気になった点を書きたいと思います。

 「カンナビノイド審査委員会」
 (一般社団法人日本化粧品協会公式サイト内)
  https://japan-ca.jp/cbd/

【2020.6.4 追記】
2020年5月25日に同委員会が厚生労働省(医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課)と行った「既存CBD製品 監視調査結果 連絡会」での報告内容の一部を最新情報として冒頭に掲載しているほか、メニュー項目の入れ替えや情報追加など、下記【2020.4.18 追記】以降も協会サイト(委員会ページ)の掲載内容に大幅な変更がありました。本ブログ記事の各見出しは同ページの当初公開時の見出しと一致しています。

【2020.6.4 追跡記事】

事件は会議室で起きているんじゃ(な)い! カンナビノイド審査委員会がCBD事件調査結果を公表

1.(4.) 「審査項目」

【2020.6.4 追記】
委員会ページでは一部の項目の順序や位置に変更がありましたが、この項目の内容自体は本ブログ【2020.4.18 追記】当時から変更されていません。

この項の最初2つはこの委員会が提携する昭和大学薬学部の施設にある検査機器で確認できますが、3点目の「CBD抽出部位と抽出工程の確認」はクセ者です。

その確認方法はカッコ書きで以下の3パターンが記載されています。

・補足資料などの開示と提出要求
・審査協力
・本委員会または委員会指定機関による現地立入調査
【2020.4.18 追記】
上記「補足資料などの開示と提出要求」は本記事での指摘後、「資料などの開示願い」に変更されました。

原文の「カンナビノイド審査委員会とは」の項にもある通り、現状としては日本国内で出回っているCBD 製品の「ほとんどは輸入品で国内での分析もされてなく違法成分が配合されている可能性が高い製品」です。

現実的には、日本市場の健全性や成長を著しく左右するような影響力のある製品でもない限り「現地立入調査」というのはあり得ないため、「補足資料」の開示・提出や、それも含めた諸々の「審査協力」(さて、何でしょう?)が必要になるということのようです。

輸入プロセスの一環として、厚労省や税関にCBD抽出部位と抽出工程を説明・証明する資料の追加提出が必要になることはありますが、海外の製造元にその書類を用意して貰うことは必ずしも簡単に進まない可能性があります。

具体的には、製造元が日本の特殊事情に配慮せず事務的に、審査不合格となってしまうような書類を用意してしまったり、あるいは日本側で必要とされる情報を記載することを拒否されたりする可能性があります。

あくまでも憶測ですが、日本化粧品協会はもともと、「厚生労働省の情報収集活動に協力しています」と掲げた「通報フォーム」を運用している団体のため、業界団体による審査・認定制度に申請することが結果的に輸入通関を進める上で「やぶ蛇」になることを輸入業者側が嫌う可能性もあります。

日本の法律が欧米の法律や欧米で一般的な産業用大麻(ヘンプ)の基準とある程度合致していれば良いのですが、以前も書いた通り、CBD抽出部位やTHC含有などについて、いわゆる「ガラパゴス」的な法律をグレーゾーンも残しながら運用しているため、日本の輸入業者や海外の製造メーカーにとっての「やぶ蛇」リスクは明確な制度が厳格に運用されている場合よりも大きく予測しにくいものになります。

2.(5.) 「製品に違法性が無いかを完全に確かめるために必要な分析法の研究を行っています」

【2020.6.4 追記】
委員会ページでは一部の項目の順序や位置に変更がありましたが、この項目の内容自体は本ブログ【2020.4.18 追記】当時から変更されていません。

この項では、現行の法律の沿ったチェック項目として以下の2点を挙げています。

1. THC含有の有無(麻薬及び向精神薬取締法

2. 禁止されている部位から採取していないか(大麻取締法

大麻に関わる法律との兼ね合いということで、これは良いのですが、「CBD製品が真に成熟した茎または種子から抽出したものかどうかを判定することは可能です」という記述は気になります。

大麻草はとても成長が早く欧米では産業大麻の生産や品種改良が日本より格段に進んでいるため、世界各地で製品化される産業用大麻の「真に」成熟した茎から抽出されたCBDかどうかを大麻後進国の日本で判定できるのかという素朴な疑問です。

それ以前の話として、この項の最後の一文、「大麻取締法に完全に準拠したCBD製品の化学的分析法を確立出来るよう研究を進めています」からすると、まだそんな分析技術は確立できていないのでは?と思ってしまいます。

3.(6.) 「安全なCBD製品には審査済証を発行します」

【2020.6.4 追記】
委員会ページでは一部の項目の順序や位置に変更がありましたが、この項目の内容自体は本ブログ【2020.4.18 追記】当時から変更されていません。

この項で目立つのは、「不正・違法の通報はこちら >」と「事件・調査状況はこちら >」という赤いボタンです。

前者をクリックすると「通報フォーム」ページに進み、その冒頭には赤字で先ほどの「日本化粧品協会は、厚生労働省の情報収集活動に協力しています」という文が掲げられています。

これは化粧品のトラブルや不適切な宣伝広告など、景品表示法や薬機法に違反する疑いのある商品、サービスや広告・ウェブサイトなどを通報するために以前から運用されているフォームです。

後者をクリックするとすると「監視調査是正体制」と題したページに進み、「行政との連絡会 議事録」の概要や、調査案件の概要が列挙されています。ただ、個々の案件レベルでは社名や商品名は記載されていても「概要」自体も大半は「非公開」として伏せられているため、行政との関係や連携具合はチラつかせるだけの情報です。

【2020.6.4 追記】
委員会ページ冒頭には。2020年5月25日に同委員会が厚生労働省(医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課)と行った「既存CBD製品 監視調査結果 連絡会」での報告内容を最新情報として掲載中。その内容は、違法の可能性のある3件の事例を「事件」として企業・商品情報とともに具体的な調査結果を掲載しているほか、他の企業・商品に関する調査結果や現在調査中の案件情報も掲載しています。

ちなみに、CBD関連では今のところ、CBDオイルやCBDローション など商品カテゴリー名を列挙した1件の記載がありますが、具体的な商品名や社名はありません。調査内容としては「◆CBD含有量。◆THC含有量 が許容値以下か。◆真に成熟した茎または種子から抽出したものか。など」と、また、状況は「着手中」ということで、この調査対象リスト自体が誰に向けた情報なのか判断するのも難しいほど漠然とした概要情報に留まっています。

この項の後半には、登録済みの製品を確認するための検索窓も用意されています。試しに「CBD」と入力して検索してみると、「未登録製品なのでご注意ください。」という見出しに続いて、「厚生労働省へ届出されている製品であっても、本審査委員会による調査は行われていないためTHCの有無・種と茎以外からCBDを採取しているなど違法の可能性があります。」という検索結果が表示されました。

この文面からすると、少なくともこの項は一般消費者向けだと思いますが、そうであれば、少なくとも登録製品が少ない最初のうちだけでも、登録製品をリスト表示する方が便利で有益でしょうね。

4.(7.) 「登録および審査までの流れ」

【2020.6.4 追記】
委員会ページでは一部の項目の順序や位置に変更があったほか、この項目には厚生労働省が2020年4月1日に公表した「CBDオイル等のCBD製品の輸入を検討されている方へ」と題した文書にも呼応する内容で、委員会独自の審査プロセス(1次審査、2次審査)や提出書類などの情報が追加掲載されています。

さて、この項では審査プロセスを説明しているのですが、そこには「登録料(年間30万円/品=申請費20万円、登録費10万円)を指定の口座へお振込ください。」という説明が。

なぜ商品の審査が年更新のサブスクリプション型ビジネスになっているのか不可解ですが、それ以上に不可解なのは、これに続いてカッコ書きされている「(登録された製品については年間を通じ製品の安全管理をご支援します)」という一文。

登録製品の「安全管理」をどのように「ご支援」するのか不明ですが、多くの輸入販売業者は、「いや、その支援は要らないから審査だけをもっと安い料金でやってくれ」と思うのではないでしょうか。

いずれにしても、日本のお役所や業界団体のサービスによく見られる、いわゆる「アメとムチ」で言うならムチの方をチラつかせながら、敷居の高い囲いの中に誘い込もうというスタンスですね。

せっかくなら、アメの方をチラつかせながら、輸入販売業者の経済的な負担を最大限に下げるような制度運用にした方が本来の目的を達成できる可能性は高まる気がします。

そういえば、先週、前編を書いた時には審査申し込みがまだできませんでしたが、いつの間にか「CBD製品登録・審査のお申込み」という申し込みフォームが公開されています。

さて、どうなることやら。

 

【徹底解説】「CBDオイル等のCBD製品の輸入を検討されている方へ」(厚生労働省)【前編】