カンナビの井戸(cannabinoid)

海外CBD製品の輸入販売…とリスク ~ カンナビ質問箱より ~

海外CBD製品の輸入販売…とリスク ~ カンナビ質問箱より ~

こんにちは、 CBD情報局「カンナビの井戸」のカンナビです。

昨日ブログを確認したところ、数日前に質問が寄せられていたことに気が付きました。

この4月に厚生労働省が満を持して(?)公表したCBD製品の輸入ガイド的な文書について、当時このブログで軽くツッコミも入れつつ解説記事を書いたのですが、その記事を読んだ読者からのこんなコメント。(質問文に『エルクシオール社』とあるのは『原文ママ』です)

この内容に関連しての質問ですが、個人事業主としてCBD商品の輸入販売をしたい場合、初めは小口になると考えていますが、厚生労働省の手続き通りしたとしてもエルクシオール社の事例のように、違法になるリスクがあるということですね・・
そのリスクを回避する何か方法はありますか?

冒頭の挨拶文はカットしましたが、とてもストレートで分かりやすい質問。

とりあえず、文章量としては倍返し(?)程度の簡潔な返信コメントを書いたのですが、少し言葉足らずかな…と思い直して書き足すうちに、10倍返し以上の長文になってしまいました。

それはそれでコメント返信しましたが、同じような疑問を持つ読者もいるのではとも思い、そうだ!少し仕立て直して記事にしてしまおう!と。

ということで、以下、この質問に対する回答を、少し補足コメントも加えつつ書きたいと思います。

【徹底解説】「CBDオイル等のCBD製品の輸入を検討されている方へ」(厚生労働省)【前編】

『THC含有リスク』と『成熟した茎と種子(以外)リスク』

早速ですが、以下が回答…の前半部分…です。

ご質問の件、どのようなリスクをどの段階でどれくらい回避したいと考えるかにもよると思いますが、仰るように「厚生労働省の手続き通りした」(必要書類を揃えて事前相談はクリアした)としてもまだ残るリスクは、次ステップとなる実際の輸入段階で税関の通関審査をクリアできれば多少なりともさらに軽減できるはずです。

その税関でも「スルー」してしまい(最近はさらにチェックが厳しくなりその可能性は下がっているはずですが)国内販売開始後に発覚してしまうような問題に関するリスクをさらに潰そうとするなら、THC含有リスクについては以下の追加ステップが考えられます。
1) 着荷後、販売主体として改めて成分分析(THC検査だけでも)を委託して問題がないことを再確認。
2) その結果を、海外メーカー側の分析書(含有カンナビノイド類や残留重金属などのフル検査結果)と併せて公表して販売開始。

が、小口の輸入販売となるとこれはあまり現実的ではないのと、厳密には、これでクリアできるのは『THC含有リスク』だけです。

THCさえ検出されなければ、その製品は大麻取締法上の『大麻』に該当する疑いがあると追及を受ける可能性は低いため、THC含有リスクさえ回避できれば良いという考え方もあります。
(THC含有そのものは同法で規制していないため、厚労省としては、THCが含まれていることを確認→合成THCなら麻向法違反、天然THCなら大麻取締法の規制対象から除外される『成熟した茎と種子及びその製品』には該当しない可能性があるため大麻取締法違反の可能性あり…というロジック)

ただ、エリクシノール社の場合、昨年10月に親会社側が出したプレスリリースの内容が事実だとすると、事の発端はTHC含有ではなく、『成熟した茎と種子』以外の部位を使用したグローバル製品を子会社が販売していると親会社側が自発的に(?)問題化させたことです。

つまり、この『成熟した茎と種子(以外)リスク』についてもどこまで敏感になるかによっては、THC含有の可能性だけでなくこれもご質問の「違法になるリスク」として関わってきます。

文字通り『最近はやりの』新型コロナウイルスの感染リスクや感染対策の話とも共通するのですが、一般論として、リスクについて考える場合、分解することが重要です。

総論的なリスクと各論的なリスク、主観的なリスクと客観的なリスク、目先のリスクと長期的なリスク、などなど。

あるいは、そのリスクが可能性ではなく実際のダメージとなった場合のダメージコントロールやリカバリーが容易なものとそうでないもの…といった具合に分解していかないと、なかなか検討が進まなかったり、話が噛み合わなかったり。

大麻由来のCBD製品の場合、主観的な『リスク感』はさておき、客観的に直接的なリスクは大きく分けると『THC含有リスク』(麻薬及び向精神薬取締法関連)と『成熟した茎と種子(以外)リスク』(大麻取締法関連)の2つ

後者の原因となる大麻取締法は、今となっては雑に作られたとしか考えられない部分が多いことに加え、この2つの法律の連携具合があまり良くありません。

このため、近年CBD製品に関わる業界ではいろいろな混乱や萎縮、あるいは不条理なリスク、そして時にはそれを逆手に取ったガラパゴス的なビジネス手法などを招いている面があります。

これとは別に、この質問にあるエリクシノール問題には、欧米の上場企業とのその子会社ならではの事情や背景があったことと、時系列的には、この厚労省文書はその問題発生が少なからず影響して策定・運用されるようになったと思われます。

つまり、それ以前に発生したエリクシノール問題のどの部分を、この読者のように新規参入を検討する個人事業主や企業が『他山の石』として参考にしたり用心したりすべきか…は、リスクを分解していかないと見極めることができません。

極論かもしれませんが、一般的な意味でのリスク感度が高い一方で(高いにもかかわらず)リスク分析は面倒に感じたり苦手な経営者は今の国内CBD業界にはいないと思います。

さて、本題の回答については、まだまだ続きます。

CBD業界が少しバタついているという話…

ポイントは『➁成分分析書』よりも『➀証明書』や『➂写真』?

とはいえ、現実的には、日本の販売代理店に卸している製品について海外メーカーがわざわざ「実はあの製品には成熟した茎と種子以外の部位が使用されていた」と事後に公表する可能性は低く、どちらかといえばメーカーとしては、厚労省が必要とする書類である『➀証明書』や『➂写真』の提供を商談段階で、(a) 事実とは異なるという理由で拒否する、あるいは、(b)(事実はどうであれ小ロット案件の場合は特に)その手間を嫌って「とりあえず拒否する」…可能性の方が高いのでは?と思います。

このように考えると、この記事で解説した厚労省の事前相談の段階においては、必要書類の中でも、『➁成分分析書』(疑問が残るなら輸入段階になってから税関で分析すれば良い)よりも『➀証明書』と『➂写真』の(信憑性の)方が厚労省にとっては重要とも言えます(『THC含有』よりも『成熟した茎と種子』で輸入販売業者を牽制したり将来的に追及できる材料を入手しておく方が効率的かつ効果的という発想)。

同様に、厚労省や税関としては、➀や➂に関して、相談者や輸入者に対して(つまり海外メーカーにとっても)面倒な要求をすればするほど、問題のある製品が国内で流通することへのリスク対策にもなります(万一そのような製品をスルーしてしまったことが発覚した場合の保身策にも)。

この後半部分には少しカンナビ流のひねくれた(?)厚労省批判と勝手な憶測を混ぜ込んでいますが、輸入者にとっての現実的な問題は前半部分だと思います。

もちろん、(a)や(b)のように拒否されるケースの方が少ない可能性もありますが、それは海外メーカー各社の営業スタンス次第。

極端な場合、(c) 小ロットでも売上を立てたいので(事実とは異なっても気にせず)「とりあえず日本で必要だと言う証明書と写真を用意して成約させてしまえ」…というケースも想定できます。

いずれにしても、これまで発生したさまざまな事例・事件を踏まえると、厚労省としては➀~➂のいずれも全面的に信頼できるようなものではないと考える可能性大。

それなら、この事前相談の段階では、実際に輸入することになった場合に税関が行う書類審査や成分分析に先立つ「事前スクリーニング機能」を果たすことができれば良いというスタンスでしょう。

ということで、本題の回答はここから今後の展望とまとめに入ります。

【徹底解説】「CBDオイル等のCBD製品の輸入を検討されている方へ」(厚生労働省)【前編】

国内CBD業界発展のカギとなるのは…

ちなみに、大麻草の部位に対する規制(大麻取締法)と合成THCに対する規制(麻向法)がこの数年内に法改正によって撤廃される可能性はとても低いと思いますが、法改正までせず運用面で(数年前までのように)微量のTHC含有・残留について実質緩和する可能性は、今後数年以内でもあるのではと考えています。

ただ厚労省としては、一度振り上げた拳をただ下げる(以前のように微量THCは黙認状態に戻す)ことは市場秩序や信頼・面子の面でも具合悪いため、欧米と同様、0.2~0.3%以下のTHC含有が許容できる(危険ではないとする)ような大義名分や節目が具合良く巡ってくるまでは現状は変わらないかもしれません。

そのカギとなるのは国内外の医療大麻を巡る情勢や海外の産業大麻業界動向だと思います。

いずれにしても、大麻草の部位に対する規制(大麻取締法)と合成THCに対する規制(麻向法)を、現状のように巧みに(?)組み合わせて、エリクシノール社のケースのように、天然THCが検出された製品であっても厚労省は「大麻取締法上の『大麻』に該当する疑いがある製品」という苦しい説明しかできない状況はあまり長続きしない…というのがカンナビ的楽観論です。

以下の記事はその参考になると思います。
https://www.bci.co.jp/nichiryu/serial/2650

    【ニュースの深層】□□98〈カンナビジオール製品から違法成分〉/厚生労働省、三製品からTHCを検出
    (2020/03/05日本流通産業新聞)

…という、私見を連発した希望的観測でまとめていますが、奇しくも新型コロナ問題が契機となりさまざまな制度や慣習が急速に変わったり崩れたりしているご時勢。

いつ何がどのように変わるか分かりません。

当面のリスク回避トレンドは…

ということで、回答の締めくくりは以下の通りです。

とはいえ、それまでの間は、最近はやりのCBDアイソレートや合成CBDのバルク輸入販売や、それらを使用した国内製造オリジナルブランド商品展開という、今の日本でリスク面も含めると経済合理性の高い選択肢を選ぶプレーヤーでさらに賑わっていくと思います。

以上、長々と回答しましたが、事業化の検討を進める上では、冒頭にも書いた「どのようなリスクをどの段階でどれくらい回避したいと考えるか」の「リスク」を細分化して整理した上で、各リスクをご自身の許容範囲に留める選択を進めることが重要だと思います。

ちなみに税関は財務省の管轄ですが、今後、CBD産業のポテンシャルに対して経済産業省が腰を上げるような展開になれば、過去数年の間にアメリカで起きたようなグリーンラッシュが日本にも到来することは間違いありません。

それまでは、ややガラパゴス的にはなりますが、アイソレートで安全飛行するのが当面の国内CBD業界の成長モデルなのかもしれません。

では、また!

CBD商品タイプをアイドルグループにたとえると…