カンナビの井戸(cannabinoid)

億千万の胸騒ぎ、日本のCBD市場の未来は…脱ガラパゴス・ジャパン!

  • 2020.10.02
  • 更新日:2021.01.22
  • 国内
億千万の胸騒ぎ、日本のCBD市場の未来は…脱ガラパゴス・ジャパン!

こんにちは、 CBD情報局『カンナビの井戸』のカンナビです。

平成世代にはあまりピンとこなさそうな記事タイトルを付けましたが、その説明は後回しにするとして…

昨日から10月。早いもので今年も3/4が過ぎました。

ヨーロッパでは夏の後半から新型コロナ第2波が本格的に押し寄せていますが、特にイギリスとフランスでは3月よりも深刻な状況になりつつあるようです。

今日は、そんなイギリスの調査会社がこの9月末にリリースしたCBD消費者調査レポートの紹介がてら、日本のCBD規制について書きたいと思います。

Prohibition PartnersのCBD消費者調査レポート

そのCBD消費者レポートはその名もズバリの『CBD: The Consumer Report』。

PP Intelligence社という、大麻産業に特化したイギリスのリサーチ&コンサルティング会社…の市場調査部門Prohibition Partnersが発行したものです。

CBDグローバル消費者調査レポート

このPP Intelligence社は2017年の創業以来、矢継ぎ早に世界の大麻関連市場の調査レポートを発行していわゆる『グリーンラッシュ』の波に乗り、欧米の大麻関連企業の株主向け報告書やプレスリリースなどでもしばしばグローバル市場情報とともにクレジットされています。

つい一昨日にリリースされたのは、今年の3月に北米とヨーロッパの主要7ヶ国、15,000人を超えるCBDユーザーと一般消費者を対象に実施したアンケート調査の報告書。

プロモーション用も兼ねて無料ダイジェスト版も提供されているので、そのダイジェスト版とニュースレターの内容からポイントを少し紹介しましょう。

調査結果の主要3点は…

まず、調査報告書のメインであるアンケート結果の主なポイントは以下の3点です。

・CBDを使用する目的として、『リラックスや睡眠』と回答したのはCBDユーザーの回答者全体(2,739名強)の48%、潜在ユーザーの回答者(CBD未使用者2,208名強)の中では53%。また、『健康とウェルネス』(特定の症状改善)と回答したのはCBDユーザーで48%、潜在ユーザーでは57%。

・米国やカナダなど成熟したCBD市場では30%近いユーザーが、今回のコロナ禍に伴うストレスや不安への対応が主な理由となりCBD使用が増加したと回答。

・グローバル店頭販売(OTC)市場におけるCBDオイル・CBDカプセル製品の2020年の需要予測は58億米ドル(約6130億円)相当で、16%程度の上振れで67.9億ドル(約7170億円)にまで達する可能性がある。

1点目で興味深いのは、いずれの目的の場合も、既存のCBDユーザーよりも潜在(未使用)ユーザーの方が、その効果に対する期待値が高めだった点。

では逆に、既存ユーザーの方が期待値の高い使用目的は何だったのかなと思い資料を見ると、『生産性やクリエイティビティの向上』で、これは潜在ユーザーの14%に対して既存ユーザーでは22%でした。

また、アルコールや嗜好用大麻をはじめとする陶酔性のある薬物の代用を目的とするという回答でも、潜在ユーザーの16%に対して既存ユーザーでは22%と高め。

代用が目的といっても、これらは恐らく『CBDをいざ使ってみたら、アルコールやドラッグの使用量が減った』という因果関係ではなく単なる相関関係。

因果関係としては、『健康意識が高まった → CBDを使うようになった+アルコールやドラッグを減らすようにもなった』ということなのでしょう。

それにしても、結果的に代用という目的を達することができれば、それはそれで『めでたし、めでたし』です。

2点目の新型コロナとの関係は、不安軽減や睡眠改善がウリのCBDなら当然といえば当然。

このアンケート調査が実施されたのは欧米でコロナ第1波がまだピークに達する前の3月なので、その後、現在の第2波に至るまでの状況を踏まえると、平均的なCBD使用量や頻度はさらに増えているはずです。

そして3点目の金額ベースの市場規模も、2020年の残りがあと1/4とはいえ、コロナ禍の今後の状況によっては上振れ幅がさらに大きくなるかもしれません。

さて、この報告書には各国のCBD規制に関する世界地図が掲載されています。

いわゆるマリファナ、嗜好用大麻や医療用大麻の解禁マップはよく見かけますが、これも興味深いものがあります。

CBD規制マップ(微量THC含有OK・処方不要版)

一つめのマップは、産業用大麻由来(かつ低THC含有率)という条件を満たした場合に、医師の処方なしでもCBDが合法となっている国を色付けしたもの。

産業用大麻認定の要件となる『低THC含有率』というのは国によって多少の差がありますが、アメリカの場合は大麻草の乾燥重量ベースでTHCの含有率が0.3%以下、EU諸国をはじめとするヨーロッパの大半の国々では0.2%以下です。

CBDグローバル規制マップ

出典:『CBD: THE CONSUMER REPORT』 ©2020 PP Intelligence LTD.

このマップが掲載されているページには国名も列挙されているのですが、アメリカに関しては『US – WITH THE EXCEPTION OF IDAHO AND NEBRASKA.(米国:アイダホ州とネブラスカ州を除く)』という注釈がついています。

これについては後述しますが、医療用大麻どころか嗜好用大麻でも全面解禁へ向けて突っ走っているように思われがちのアメリカには、実はCBD規制が日本以上に厳しい州もあります

大麻事件報道で不安になったCBDユーザーは…

CBD規制マップ(微量THC含有NG/要処方版)

もう一つのマップは、産業用大麻由来のCBDであっても何らかの規制がある国を色付けしたもの。

このマップのタイトルには『法の抜け穴(LOOPHOLES)または医師の処方により』CBDが入手可能という表現がありますが、少しミスリーディングなので『何らかの規制』としておきます。

CBDグローバル規制マップ

出典:『CBD: THE CONSUMER REPORT』 ©2020 PP Intelligence LTD.

国ごとの説明としては、たとえばフランスの場合は最近の政令では大麻草に含まれる陶酔成分THCがゼロの場合のCBD製品のみ販売・消費が合法、オランダの場合はオランダ国外で生産されたCBD製品であれば合法、オーストラリアの場合は医師の承諾が必要で0.005%以上のTHC含有は違法…などなど。

日本はというと、ただ一言、『わずかたりともTHCを含まないこと』とだけ。

これは次のセクションで取り上げますが、かなり端折られた説明なので、他国の規制に関する情報もどこまで正確なのか、少し気になります。

CBDグローバル規制情報

出典:『CBD: THE CONSUMER REPORT』 ©2020 PP Intelligence LTD.

ちなみに先日『CBDにはどんな副作用…の可能性が…?』という記事でCBDの副作用の話ついでに、医療用CBDオイルと呼ぶべき英GW Pharmaceuticals社の抗てんかん発作治療薬『Epidiolex(エピディオレックス)』について書きました。

お隣の韓国では昨年、この薬が他の大麻由来や合成THCの医薬品とともに処方薬として現地当局の薬事承認を受けましたが、通常のCBDオイルをはじめとする市販CBD製品は違法です。

さて、前述の通り、『わずかたりともTHCを含まないこと』という一言で片付けられて(?)いる日本についても軽く整理しておきましょう。

CBDにはどんな副作用…の可能性が…?

日本のCBD規制は…

『軽く整理しておきましょう』と書いておきながら…ですが、この春に公表されこのブログでもたびたび紹介している厚生労働省の『CBDオイル等のCBD製品の輸入を検討されている方へ』という文書が、CBD製品の観点からも大麻関連の法規制を軽く、かつ分かりやすく整理しているので、該当部分を改めて掲載します。

まずは『大麻取締法』との兼ね合いという観点から…

大麻取締法における「大麻」とは

出典:『CBDオイル等のCBD製品の輸入を検討されている方へ(2020年5月版)』
(厚生労働省 地方厚生局 麻薬取締部)
http://www.ncd.mhlw.go.jp/dl_data/cbd/guidecbd.pdf

これは、大麻取締法において「大麻草自体や大麻草に由来する製品の中でも何が違法な『大麻』なのか」を定義しています。

次に『麻薬及び向精神薬取締法』との兼ね合いという観点からは…

CBD製品について(麻薬及び向精神薬取締法による合成THC規制)

出典:(同上)

えっ、先ほどのマップに記載されていた『法の抜け穴』という表現はもしかして日本を意識して使っていた?!

…ということではないと思いますが、厚労省は「『大麻』に該当しないことが確認できないので、原則として」という、日本人の国民性にもうまくマッチする(?)論法と温度感でちゃんと穴をふさいでいます。

ちなみに今回、少し気合を入れて欧米各国やアメリカ各州の大麻規制とCBD規制を調べてみたところ、海外でも国や州によっては思っていた以上にグレーゾーンが多いことが分かりました。

ただ、日本以外の国のグレーゾーンの場合、国民の側にとって都合良くなるような拡大解釈や法運用が多いのですが、日本の場合はその逆パターン

となると、この先、医療用大麻の解禁どころか、CBDに対する新たな規制が登場する可能性もあるかもしれません。

ちなみに、新たなCBD規制の可能性としてはEUでも不穏な動きが進んでいますが、今年の1月末にEUを離脱したイギリスのCBDメーカーはこれを機にグローバル市場での勢力拡大を図ると見られています。

日本の特異性は、別に法的なグレーゾーンに関する行政スタンスに限ったことではありませんが、医療や産業においての機会損失も含めた影響なども考慮すると、行政にはあまりガラパゴス・ジャパン路線で突き進まないで欲しいと思います。

さて、どうなることやら…

それはさておき、先ほど『後述』としたアメリカ国内の規制についても少し掘り下げることにしましょう。

【徹底解説】「CBDオイル等のCBD製品の輸入を検討されている方へ」(厚生労働省)【後編】

アメリカのCBD規制は…

ということでアメリカの場合です。

そもそもCBD規制は大麻規制よりも少し複雑で、CBD製品の規制ポイントをどのように細分化するかによって該当する州が多少入れ替わります。

が、今回の消費者レポートの分類方法だと本来は前述のアイダホ州とネブラスカ州に加えてもう1州、サウスダコタ州も含むことになり、ウィキペディアに掲載されている以下の大麻規制マップでいうとグレー部分と合致するはずです。

アメリカ大麻合法化マップ

紺色:大麻は合法
緑色:医療大麻は合法
薄緑色: 医療大麻は合法。ただしTHC含有量に制限あり
灰色:いかなる使用も禁止
D文字:嗜好目的使用の非犯罪化

出典:「大麻」(アメリカ合衆国の各州における大麻の法的扱い)『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版

ちなみに左のグレーがアイダホ州、中央の上がサウスダコタ州、その下がネブラスカ州です。

サウスダコタ州とネブラスカ州ではTHC含有や産業用大麻由来かどうかに関係なく、CBDは医者の処方無しでは禁止。

アイダホ州では産業用大麻としての要件を満たす0.3%以下であってもTHC含有は禁止。

州当局や州内の法律事務所のウェブサイトなどを見る限り、それなりに厳格な法規制になっています。

余談ですが、陶酔性と依存性の高い合法薬物であるアルコールに関して、アメリカは販売店でも飲食店でも全般的に日本よりも厳しく規制されています。

このことは必ずしも日本でよく知られてはいませんが、その厳しさの差は法律自体の差以上に法運用の厳格さの差が大きい印象です。

歴史的に多くの移民を受け入れ続け、人種や文化、言語までマチマチな国民から成るアメリカの場合、基本的に性善説ではなく性悪説ベースでの法整備と法運用は基本中の基本。

『悪さをする余地を残せば悪さをする者が出るのは当然』という、ある意味、人間の中に潜む悪について理解のある(?)社会のため、たとえばアルコール規制に関しても、小売店や飲食店レベルだけでなく製造・販売・宣伝など各レイヤーに対する規制や処罰も徹底する一方で、依存症にまで至ってしまった場合の消費者に対する社会的な理解や救済策も法律の整備や運用をベースとして成り立たせている面があります。

ただ、大麻関連の規制を例に挙げるまでもなく、『自由とそれに見合った責任』がセットになるという理念や制度が個々人だけでなく自治体に関しても徹底していて、連邦法と各州の州法の不整合や『ねじれ』が、時には日本的な感覚ではまったく理解できないような不都合や問題を引き起こします。

アメリカは建国以来、ある意味では国全体を巨大な実験場として、さまざまな社会実験と検証・改善を繰り返し続けている国家。

失敗だけでなく成功や進歩・革新も日本に比べるとケタ外れです。

そのような試行錯誤から生まれる失敗例や成功例が豊富で幅広い国だけに、大麻やCBDに限らず薬物規制や依存症対策など全般で日本が学ぶ材料はいろいろあるはずですが、いかんせん変化や変更に対する抵抗がとても強い日本の政治と行政。

変化・変更しないことが美徳で最善策という価値観を変えるのはなかなか大変です。

と、話が脱線しましたが、最後に今回の記事タイトルについて少々…

厚労省『麻薬・覚醒剤乱用防止運動』への提言!…というかツッコミ

億千万の胸騒ぎ…脱ガラパゴス・ジャパン!

先日あるテレビ番組で一瞬ですが、80~90年代に一世を風靡した売野雅勇(うりのまさお)さんという作詞家がゲスト出演しているのを偶然見ました。

このところ、深田恭子・多部未華子・永野芽郁の3姉妹が2本指で『めッ!』と決めポーズをやるUQモバイルのCMで、ラッツ&スターに提供した往年のヒット作『め組のひと』がリバイバル中。

『売野雅勇つながり』で過去のヒット作がいろいろ頭の中で蘇る中、浮かんだ曲の一つが郷ひろみに歌詞を提供した『2億4千万の瞳 〜エキゾチック・ジャパン〜』。

その歌詞のキャッチフレーズの一つが『億千万の胸騒ぎ』です。

さすがに日本の全人口規模になると大風呂敷を広げすぎですが、CBDもその数十分の一か数百分の一くらいの人の胸騒ぎ…というか不安やストレスを和らげるような存在にいずれなるのでは…という期待も込めて、脱ガラパゴス・ジャパン!

では、また!

CBD商品タイプをアイドルグループにたとえると…