カンナビの井戸(cannabinoid)

週刊ダイヤモンド「グリーンラッシュがやってくる」記事にちょっとツッコミ

週刊ダイヤモンド「グリーンラッシュがやってくる」記事にちょっとツッコミ

こんにちは、 カンナビジオール (CBD) 情報局「カンナビの井戸」の「かんなび」です。

昨日の「はじめまして」でも書きましたが、最近、ネット通販やメディア情報でCBD製品を見かけることが多くなりました。それとともに、「おや?」と思う情報を見かけることも増えています。

今日はつい最近の例を紹介したいと思います。

「医療用大麻」イコール「THCを多く含んでいる」ではありません。

実は、今回ブログ開設のきっかけの一つが週刊ダイヤモンド2019年11月30日号の「グリーンラッシュがやってくる」という特集記事です。

その中に “「CBD」の3つの誤解” と題したセクションがあるのですが、そこに以下の記述がありました。

誤解2 CBDって医療用大麻のこと?

大麻由来といえども、CBDと医療用大麻は全く別物である。
医療用大麻は、「医療用」と冠しているが、THCを多く含んでいる。つまり、用途が違うだけで、嗜好用大麻(マリファナなど)と中身は同じなのだ。
一方、CBDは産業用大麻から作られる。産業用大麻とは、種子や繊維を取る目的で栽培される大麻を指す。「ヘンプ」とも呼ばれており、日本で「麻」といえば、ほぼ産業用大麻のことだ。
(後略)

まず、 「THC」(テトラヒドロカンナビノール)は、マリファナのいわゆる「ハイになる」成分ですが、 「医療用大麻」イコール「THCを多く含んでいる」ではありません。

大麻先進国のアメリカの場合、食品医薬品局(FDA)は大麻由来の医薬品としては今のところ1種類、Epidiolex(エピディオレックス)という抗てんかん薬しか承認していませんが、その主成分はCBDでTHCは含まないと言われています。

厳密には、 製造元のイギリスGWファーマシューティカルズ社は特許申請の際、Epidiolexに含まれるCBDの定義を「CBD純度98%」「THC含有0.15%未満」としています。

つまり、大麻草からCBDを抽出して製造するプロセスで微量のTHCが残留している可能性があるという予防線だと思いますが、実際のTHC含有については特に公表していません。いずれにしても、週刊ダイヤモンド の記事にあるような「THCを多く含んでいる」医薬品ではありません。

この製薬会社はSativex(サティベックス)というがん患者用の鎮痛剤も製造販売していますが、こちらはTHCとCBDがほぼ同量で含まれているため、週刊ダイヤモンド記事にある「THCを多く含んでいる」部類に入るでしょう。

ちなみにこのSativexは2010年代の初め頃から「母国」イギリスをはじめとするEU諸国やカナダ、イスラエルなどの国で次々と承認されましたが、アメリカではまだ承認されていません(2019年11月30日現在)。

さて、もう一つの例についても手短に書いておきましょう。

「CBDは産業用大麻から作られる 」ばかりではありません。

週刊ダイヤモンドの記事には、「一方、CBDは産業用大麻から作られる」とも書かれてますが、CBDは大麻草の種類にかかわらず多少なりとも含まれている成分で、産業用以外の大麻草からもCBDは抽出されています。

この記事にもある通り、日本では主に「種子や繊維を取る」目的で栽培されていた大麻草や、収穫後の原材料としての大麻のことを「産業用大麻」と呼んでいます。

そもそも大麻草の栽培や乾燥大麻なども含めた「大麻」の所持・授受は終戦直後にできた大麻取締法で厳しく規制されてきました。北海道や東北など一部の地域で自生する野生の大麻草は別として、国内で合法的に栽培される大麻草となると研究用を除くと産業用大麻しか存在しません。

一方、海外では「嗜好用・娯楽用」の大麻、つまり「マリファナ」に対して、産業用大麻のことは「ヘンプ(hemp)」と呼んで区別してきました。
日本でも大麻草の生産者や麻糸や麻紐を使う手工芸をする人はヘンプという呼び名を使う場合もありますが、現在、アメリカではTHCの含有率が乾燥重量ベースで0.3%以下のものを、EU諸国の場合は0.2%以下のものをヘンプと呼びます。

アメリカでは今年1月に施行された2018年度改正農業法(2018 Farm Bill)でヘンプの栽培が全米で合法になりました。これに伴い「ヘンプ由来」のCBD製品が怒涛のように出回るようになりましたが、ヘンプの定義には当てはまらない大麻由来のCBD製品も以前から出回っていました。

2012年にコロラド州とワシントン州で嗜好用大麻、つまりマリファナが合法化され、その後を追う州が続いていますが、当然のことながら嗜好用の大麻や大麻製品は産業用大麻として管理された環境で栽培されたTHC成分の少ない大麻草に由来するものではありません。

THCはいわゆる「ハイになる」成分で鎮痛効果もありますが、CBDはそれとは別に炎症を抑えたり睡眠を補助する効果があるとされています。
嗜好用大麻が合法化された州ではCBDを産業用大麻だけから作ることに特別こだわる必要がないわけです。もちろん、「CBDだけ」を採ろうという場合はCBD含有率の多い産業用大麻を使う方が効率は良くなりますが。

ということで、長々と書いてしまいましたが、以上が「おや?」と思うCBD情報の週刊ダイヤモンド「グリーンラッシュがやってくる」特集版です。この記事には他にも幾つか「おや?」がありますが、全体的なプラスマイナスで言うとなかなか読みごたえのある特集記事です。

今回はたまたま「誤解を解くことを目的とした解説コーナーが新たな誤解を招く内容になっている」状態だったため、ツッコミを入れてしまいましたが、CBDの最新・最前線記事としておススメです。次回はもう少し柔らかめの話題を取り上げたいと思います。

【関連記事(2020.2.5追記)】

「カンナビノイド審査委員会」のCBD審査制度にちょっとツッコミ【前編】