おやおや?これって営業妨害?! 東京都のCBD「消費者注意情報」

こんにちは、 CBD情報局「カンナビの井戸」の「かんなび」改めカンナビです。
かな表記の名前はカッコ書きしないと読みにくいのでカナ表記に改名しました。
先月末のことですが、東京都の「東京くらしWEB」という都民向け情報サイトにこんな注意喚起情報が掲載されました。
●ご注意ください(消費者被害情報ほか)
これを目にしてから1週間あまり、何とも後味(?)の悪いモヤモヤしたものを感じていたので今回はこれについて書きたいと思います。
おやおや?
まず、前述のページは、「ご注意ください(消費者被害情報ほか)」というセクションの一覧ページで、たまたま令和2年度になって発信された最初の(かつ現時点では唯一の)注意喚起情報です。
3月以前の情報は年度ごとにアーカイブ化されているため、この一覧ページに掲載されているのは今回のCBD注意喚起情報だけ。
そこに他意は特に無いと思いますが、ちょっと目立っています。
そしてその内容は…
CBD(カンナビジオール)を含む電子タバコや健康食品等は大麻成分THCが含まれているおそれがあるため、ご注意ください
電子タバコや健康食品等に用いられるCBD(カンナビジオール)は、主に大麻草の茎や種子から抽出される成分です。それ自体は違法成分ではありませんが、精製が不十分だとTHCという麻薬に指定される成分が含まれる可能性があり、健康被害が生じるおそれもあるため、注意が必要です。
…ということで、これは見出しと概要だけの、いわば予告編。
クリックするとあ「本編」のページに進みます。
その内容は「おやおや?」です。
これって…
本編の注意喚起情報はこの通り、2つの相談事例、それらも含めた相談案件の統計、そして「東京都消費生活総合センターからのアドバイス」という構成になっています。
まず一つ目の相談事例ですが…
■相談事例 1
飲むとよく眠れるということで、医師からCBDオイルという大麻草から作る食品を紹介された。違法な商品ではないのか。
実際の相談内容をどの程度端折ってウェブサイトで紹介しているのかは不明ですが、ある商品が「違法かどうか」がこの相談の主旨。
相談者が医師に特定のメーカーのCBDオイル「商品」を紹介されたのか、あるいは一般的な商品分類として「CBDオイル」なるものを紹介されたのかによって、回答内容も事例紹介としての趣旨も変わるはずです。
少なくともそれが分かる記述がないと読み手をミスリードする可能性があります。
…と、ケチをつけても仕方ないので、ここは両方のパターンで本来望ましい対応について考えることにしましょう。
➀特定ブランドのCBDオイル商品に関する相談の場合:
→ まずその違法性を内部や然るべき省庁と連携して調査。違法性が確認されるまでは注意喚起を控える。もし違法性にかかわらず重大な健康被害拡大の恐れなどがある場合はその趣旨での注意喚起を行う。
➁商品分類としての「CBDオイル」に関する相談の場合:
→ 敢えて相談事例として紹介するのであれば、この相談者の質問趣旨を踏まえ、まず「CBDオイルという商品は一般的に違法ではない」とした上で必要に応じて適切なアドバイスもする(それを注意喚起情報にも含める)。
少なくとも、広く消費者に向けて注意喚起をするのであれば、商品の特定や違法性の確認をした上での内容にするか、もしそれできないのであれば、少なくとも注意喚起の対象・趣旨や根拠が何なのかを明確にすべきですよね。
この東京都のロジックは、たとえば犯罪を犯した特定の外国人労働者の例を引き合いに出して、「外国人労働者には犯罪を犯す人もいるのでご注意ください」と注意喚起するくらい乱暴です。
…営業妨害?
さて、二つ目の相談事例は…
■相談事例 2
リキッドにカンナビジオール(CBD)という大麻の成分が含まれている電子タバコ。
公的機関から効果効能が公表されている安全性の高い成分と販売サイトに書いてあるが、本当か。
これもどこまで実際の相談内容を端折っているのかは不明ですが、いずれにせよ読み手には記載された内容しか伝わりません。
この1行目も2行目も、特定のCBD製品の話ではなくあくまでも「成分としてのCBD」の話です。
この質問に対する回答があるのかと思いきや、続く記述はこれです。
都内の消費生活センターには、CBD(カンナビジオール)を含む商品の相談が、令和元年度に58件寄せられています。CBDとは、主に大麻草の茎や種子から抽出される成分です。
そもそも注意喚起のために敢えて相談事例を公表するのであれば、本来それに対してどのような回答・対応をしたのかについて正確な情報も公表すべきだと思いますが、微妙に話をそらしている感じです。
それでも、続くセクションの見出しではこんな見出しなので…
ココに注意!…東京都消費生活総合センターからのアドバイス
…さて、どんなアドバイスなのだろうと思うと…
●現在日本国内では、CBD(カンナビジオール)は医薬品成分ではなく、健康食品等に用いられているものです。
しかし、精製が不十分だとTHC(テトラヒドロカンナビノール)という麻薬に指定される成分が含まれる可能性もあり、健康被害が発生するおそれがあります。
【参考】「大麻成分THCを含有する製品について」厚生労働省(令和2年2月20日)●電子タバコや健康食品は医薬品ではないため、疾病への治療や予防効果、身体の組織機能の増強・増進効果をうたって販売することは医薬品医療機器等法に抵触する行為です。医薬品的な表示や効能効果をうたう表示・広告には注意しましょう。
●CBDを含む電子タバコや健康食品等の購入について疑問や不安を感じたら、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
…「CBD(カンナビジオール)は医薬品成分ではなく」という成分の話と、「精製が不十分だとTHC(テトラヒドロカンナビノール)という麻薬に指定される成分が含まれる可能性もあり」という原料や製品の話がごちゃ混ぜになり、挙句の果てに「医薬品的な表示や効能効果をうたう表示・広告には注意しましょう」という話に飛んでいます。
別に相談事例の話から広げるなということではありませんが、相談事例として引き合いに出すからには、その相談事例に対する回答にもちゃんと触れた上で話を広げるべきですよね。
このブログで時々書いていますが、「成分」としてのCBDの話と、特定あるいは不特定の「商品・製品」としてのCBDの話が不明瞭になるケースはよくあるのですが、これは販売する側はもちろん、監督する側にも十分に意識して欲しいものです。
合法的な手続きを経た輸入品でもTHC含有が判明する事件があったり、違法な輸入品が出回ったりということがあるのは事実。
でも、合法的に輸入販売している代理店やメーカーにしてみると、さすがにこのような粗雑な注意喚起は営業妨害レベルでは?とも思ってしまいます。
ということで、少しモヤモヤが解消したので次回はもう少し明るい?話題にしたいと思います。
では、また!
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